紛争の内容
ご依頼者である不動産会社は、特定の大口取引先との契約終了を機に業績が急速に悪化し、新たな取引先の開拓も進まず、事業の先細りが避けられない状況に陥りました。負債総額は約2,000万円となり、事業継続の見込みがなくなったため、法人の破産を決断されました。また、代表者個人も金融機関からの借入について連帯保証をしており、法人破産と同時に代表者個人の生活再建のため、個人の破産申立ても必要となりました。
交渉・調停・訴訟等の経過
ご依頼を受け、直ちに法人および代表者個人の同時破産申立てを準備しました。
- 法人財産の調査・保全:会社の残余財産(現金、売掛金など)を正確に把握し、債権者平等の原則に基づき、適切に保全しました。
- 債権者集会への対応:裁判所からの破産手続開始決定後、債権者集会に向けて、会社が破産に至った経緯と財産状況を分かりやすく説明する資料を作成しました。
- 代表者個人の免責手続き:代表者個人についても、免責不許可事由(破産法上の免責が認められない事情)がないことを確認しました。特に、事業の失敗は経済情勢や取引先の都合によるものであり、浪費などの不当な行為がないことを裁判所に丁寧に疎明しました。
本事例の結末
法人については、裁判所により適正に破産手続が進行し、異時廃止となりました。 代表者個人については、破産法上の問題となる事由がないと認められ、無事に裁判所から免責決定を受けることができました。これにより、代表者は会社の負債に対する連帯保証責任から解放され、新たな生活再建のスタートを切ることができました。
本事例に学ぶこと
法人の倒産手続きにおいて、代表者が連帯保証人となっているケースは非常に多く、法人と個人の問題は切り離せません。このような場合、法人破産と代表者個人の破産(自己破産)を同時に、かつ一体として申立てを行うことが、時間的・経済的に最も効率的です。事業の失敗による破産は、免責が認められやすい類型の一つですが、早期に弁護士に相談し、適切に手続きを進めることが、代表者の生活再建(免責)を確実に得るための鍵となります。
弁護士 申 景秀







