新型コロナウイルス感染症のまん延は、2022年8月現在、収束しているとはいいがたい状況です。この新型コロナウイルス感染症により、多くの企業がダメージを受けました。中でも、いわゆるコロナ融資を受けた方々の返済についてのご相談が増えてきている印象です。
今回は、いわゆるコロナ融資の返済にお困りの方々についてどうすべきか、さいたま市大宮区で30年以上の歴史を持ち、中小企業経営支援に注力し、また「法人破産専門チーム」を擁する弁護士法人グリーンリーフ法律事務所が解説を行います。

新型コロナウイルス感染症とコロナ融資

2020年の年初から徐々に拡大した新型コロナウイルス感染症の拡大は、皆様ご承知の通りの状況です。
そして、この新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業経営にも大きな暗い影響を残しました。
そこで、そうした企業に対する様々な支援制度が設けられ、特に、いわゆるゼロゼロ融資、コロナ融資と呼ばれる融資は、広く利用されています。

ゼロゼロ融資と呼ばれる理由

それでは、なぜこのコロナ融資は、ゼロゼロ融資と呼ばれるのでしょうか。
通常、金融機関は、お金を貸し付ける際に利子をとることで利益を得ています。また、返済が滞った場合に備え、担保(人的担保が保証、物的担保の典型例が抵当権です。)を求めます。
コロナ融資は、この利子も実質ゼロ(ただし、一定期間の場合もあります)、担保もゼロのため、「ゼロゼロ融資」と呼ばれるのです。

コロナ融資の返済の開始

上記の通り、コロナ融資はいいことずくめのように思えます。
通常支払いが必要となる「利子」の支払いもなく、提供を求められる「担保」も提供しなくて良いのですから。
しかし、借り入れである以上、返済は必要になります。
その返済は、多くの企業は2023年からの返済と言われていますが、すでに返済が開始している企業もあります。

コロナ融資の問題点

新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった当初は、すべてがわからないことばかりでした。
病気の性質も、社会に与える影響も、まったくわかりませんでした。
コロナ融資も、とにかく資金繰りに困った企業には貸すという側面があったものと言え、身の丈以上に借り入れをしている企業があるというコメントをしている経済学者もいます。
すなわち、コロナ以前から資金繰りに行き詰っていた企業や本業が不振だった企業も、融資を受けられた、という点は、問題点と言ってよいと言われています。

コロナ融資の返済に困る場合は何が考えられるか

事業がうまくいっている場合

事業がうまくいっている場合であれば、コロナによる影響やコロナ融資の返済に困るというのは、一時的な事象と言えます。
このような場合には、金融機関に相談して融資を受けたりすることで資金繰りをクリアすることが考えられます。

事業がうまくいっていない場合

事業がうまくいっていない場合というのは、残念ながら、コロナ以前から資金繰りに困っていたり本業で利益を上げることができていなかったりすると考えられます。
このような場合には、事業が黒字に改善できるかどうか、早急に見極めが必要です。

事業がうまくいっていない企業がコロナ融資の返済に困るとどうなるか

先に見たように、事業がうまくいっていない企業でコロナ融資の返済に困る場合というのは、コロナ以前から資金繰りに困っていたり本業で利益を上げることができていなかったりすると考えられます。
この場合、よほど事業の改善が見込めなければ、事業自体が立ち行かなくなることを意味します。

事業がうまくいっていない企業がコロナ融資の返済に困った場合にどうすべきか

事業がうまくいっていない企業がコロナ融資の返済に困った場合

今見たように、事業がうまくいっていない企業がコロナ融資の返済に困る場合というのは、事業自体がすでに立ち行かなくなっている可能性があると言えます。
このような場合には、まずは金融機関(いわゆるメインバンク)に相談することが一般的だと思われますが、メインバンクもそれ以上の融資ができないと判断することも多々あります。場合によっては、メインバックによる資金の引き上げなどがなされる可能性もあります。
この場合、事業自体をどのように閉じるか、すなわち、廃業を検討することになりますが、借り入れをしている場合には、破産を検討することが必要になります。

破産手続の流れ

①受任
②現地の調査・従業員に対する説明
③受任通知の発送
④賃貸物件の明け渡し、財産調査、リース品返却、申立書作成
⑤裁判所に対する破産申立書の提出
⑥破産開始決定
この後は、破産管財人に管理処分権が移ります。
⑦破産管財人との面接
⑧資産の処分・配当
⑨債権者集会(配当はこの後になる可能性もあります。また、複数回)
⑩破産終結決定

グリーンリーフ法律事務所が破産手続を申し立てる場合の標準的な期間

※ ご依頼を受けてから、破産申立書の提出までにかかる時間は、ご依頼者の方が、破産申立てに必要な書類をどの程度の時間でそろえていただけるかで大きく異なりますが、一般的には1週間~2ヶ月程度です。この間、弁護士が債権者、従業員の方などに対応します。
※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~1年程度です。

コロナ融資の返済とグリーンリーフ法律事務所

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来数多くの企業に関する案件・相談に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、中小企業の悩みに精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産管財人を経験した弁護士も複数在籍しています。

コロナ融資の返済にお悩みの経営者の方へ

新型コロナウイルス感染症の拡大やそれによる企業業績の悪化は、だれの責任でもありません。そして、コロナ融資をして企業存続を図ったものの、万策尽きて破産を検討するこという場合でも、破産は決して恥じる制度ではありません。
未曽有の災害の結果、破産手続を用いて企業の清算をするというのは、企業経営者としてのあるべき責任の取り方であると言えます。

資金が尽きる前にご相談を

資金が尽きてしまっては、破産手続をとることはできません。
また、資金が不足しそうになってしまうと、金融機関は、場合によっては資金の払い戻しに応じない可能性があります。そうなると、破産手続のための費用を工面することもできないことになります。
従って、資金が尽きる前に、弁護士に相談することが必要です。

ご相談 ご質問
グリーンリーフ法律事務所は、地元埼玉で30年以上の実績があり、各分野について専門チームを設けています。ご依頼を受けた場合、専門チームの弁護士が担当します。まずは、一度お気軽にご相談ください。

■この記事を書いた弁護士
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所
弁護士 野田 泰彦
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