
中小企業の経営者の中には業績不振に悩んでいる方も多いと思います。業績不振に関する不安を放っておくと、場合によっては取り返しのつかない状態に追い込まれてしまうこともあるため注意が必要です。本稿では業績不振の段階に応じた対応策を探っていきます。
不安を放置してはいませんか?

中小企業経営者の皆様は、日々、資金繰りや事業の拡大といった経営の悩みに向き合われていることと思います。
そのような中で、「最近、売上が伸び悩んでいる」「資金繰りが以前よりタイトになった」と感じることはありませんか。
こうした感覚は、中小企業経営者が抱えがちな、業績不振に関する漠然とした不安と言えます。
こうした不安にその都度適切に対処することで、業績不振から脱し、安定経営の波に乗れることもあるでしょう。
しかし、時と場合によっては、このような不安を漫然と放置したことが、経営に深刻なダメージを与えることもあるのです。手遅れになる前に動くことが、会社再建、あるいは円満な清算の鍵となります。
気付いた段階で適切に対応してすれば、まだ間に合います。
このコラムでは、業績不振の段階に応じ、経営者の皆様がとるべき対応策を解説していきます。
売上減少と利益率の悪化が見える段階

「売り上げが減少した」「利益率が悪化してきた」ということはありませんか。
例えば、
・過去○ヶ月で売上が対前年比○%以上減少した。
・売上総利益率(粗利率)が低下している。
・取引先の支払サイクルが長期化し、資金繰りを気にする場面が増えている。
などです。
こうした場合に取るべき対応
①コスト構造の分析
「固定費(特に人件費・家賃)」と「変動費」を分けて算出し、削減可能な項目をリストアップします。
②キャッシュフローの可視化
そもそも資金繰り表を作っていないという会社もありますが、それでは、肝心のキャッシュフローが把握できません。
資金繰り表を作り、キャッシュフローを可視化しましょう。
資金繰り表を向こう6ヶ月分作成し、赤字に転落するタイミングを予測します。赤字転落が避けられなくても、そのタイミングが予め分かっていれば、打てる対応策があるかもしれません。
営業赤字が常態化し、資金繰りに影響が出始めた段階

営業赤字が常態化してしまったり、資金繰りに影響が出てしまったりするような段階です。
例えば、
・経常利益が連続して赤字になっている。
・手元資金が月商の1ヶ月分を切り始めた。
・税金や社会保険料の支払いに遅延が出始めた。
などです。
こうした場合に取るべき行動
①事業の見直し(選択と集中)
不採算部門・不採算商品を明確にし、撤退や縮小の意思決定を行います。
ここはまさに、中企業経営者の皆様のご経験に基づく経営判断がものを言うところです。
②リスケジュール(条件変更)や資金繰りの具体化
借入れのある金融機関に対し、具体的な返済猶予計画(リスケ)を提示したり、新たな借入れのための交渉を行います。
決算書等の資料を示し、会社の経済的体力を詳らかにしたうえで相談します。長年付き合いのある金融機関の担当者であれば、ある程度親身に耳を傾けてくれると思います。
③外部専門家への初期相談
弁護士や中小企業診断士、税理士や公認会計士、あるいは公的な中小企業支援機関に相談し、私的整理・事業譲渡など、会社経営の出口戦略の選択肢を確認します。
今が依頼するタイミングでなかったとしても、事前にどのような選択肢があるのかを把握し、心づもりをしておくことは大きなアドバンテージとなります。
資金ショートが目前に迫っている段階

資金繰りが悪化し、資金ショートが不可避になり、その具体的な日にちが予測できる段階です。いわゆる“切羽詰まった”状態です。
例えば、
・今月末の支払いが困難であることが確実になった。
・買掛金や未払金が大幅に滞留し、取引停止の危機に瀕している。
・手形が不渡りになった。
などです。
こうした場合に取るべき行動
①最優先は資金確保
民事再生や破産などの法的手続をとることは不可避と思われます。
この場合、法的手続を弁護士に依頼するための費用を確保することが最も重要です。
再生や破産を弁護士に依頼するには相応の費用がかかります。取引先に迷惑をかけたくないばかりにギリギリまで頑張ってしまい、資金が底をついてしまうと、弁護士に依頼することもできなくなり、会社は法的手続をとることができず、多額の負債を抱えたままで事実上の倒産状態になってしまいます。実は、これが一番、取引先にとっては多大な迷惑です。
②債務整理手続きの決定
民事再生、破産、特別清算の中から、会社と経営者にとって最もリスクの少ない方法を専門家(弁護士)と最終決定します。
③手続の準備
弁護士と、従業員対応、取引先対応、金融機関対応、公租公課庁対応を検討し、淡々と進めていきます。
基本的には依頼した弁護士が主となって進めてくれますが、裁判所への申立てにあたっては、打合せや資料の準備など、弁護士の指示に従って代表者も動きます。経営者としての、最後の一仕事です。
弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。
このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。
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