自動車運送事業とは

自動車運送事業は、自動車を用いて顧客を一定の目的地まで送り届ける事業のことを指し、タクシー事業が代表的です。

道路運送法において上記事業は一般旅客自動車運送事業に分類され、「他人の需要に応じ、有償で、自動車を使用して旅客を運送する事業」と定義されています。

自動車運送事業の破産手続の特徴・注意点

自動車運送事業の破産手続について、一般的な内容に加え、注意が必要と思われる代表的な点は以下のとおりです。

1 自動車について

  自動車運送事業においては多数の自動車を会社で所有等していることが想定されるため、まずはその自動車の所在を確認することから始めます。

  自動車については会社で所有していることのほか、リース契約により使用している場合もあるため、契約形態については注意が必要です。

  自動車の購入にあたりローンを組んでいる場合やリース契約を利用している場合には自動車をローン会社等に返還する必要がありますので、自動車の処分前にその選定を行います。

  なお、自動車自体は会社の所有であっても、事業に用いていたタクシーメーター、ボイスガイド、精算端末、領収書発行機、シートカバー等の付属品や備品についてはリース契約を利用している場合がありますので、その点も処分前に確認することになります。

  自動車の処分にあたっては、自動車単体で処分するよりも一般旅客運送事業の認可や駅や施設への乗り入れ権とあわせて処分することで高値がつく場合があるため、そのような形で同業者等に売却することが可能か否かを検討します。

2 ETCカードや未集金分について

  事業に用いていた自動車に挿入されている会社名義のETCカードについては総発行枚数を確認した上で忘れずに回収します。

  タクシー運賃等を乗務員が現金で管理しているという場合には乗務員との間で預かり未了となっている現金がないか、また、精算が済んでいない分がないかの確認を行います。

3 交通事故について

  自動車運送事業を行う中で交通事故は一定の割合で発生してしまいます。

  破綻時期に交通事故の処理がすべて済んでいる場合には別ですが、未解決の交通事故が残っている場合、当該事故に関する損害賠償請求権が破産手続の中で顕在化します。

未解決の交通事故が存在する場合には当該事故に関する情報(交通事故発生日時、発生場所、当事者、現在の進捗状況、想定される損害賠償請求権の内容)、保険加入の有無、保険金の請求可否等について整理しておく必要があります。

また、解決済みの交通事故であっても会社が支払った損害賠償金について自賠責法上の請求ができる場合もありますので、過去の交通事故について自賠責保険からの回収漏れがないか確認しておくことが有用です。

4 労働債権について

  乗務員に対する給与の未払いがある場合はもちろんとして、表面上は未払いの給与がない場合でも残業代の設定の仕方によっては未払残業代として労働債権が存在するという場合があります。

  タクシー乗務員は長時間労働となることが多く、その分は歩合等で調整するという手法がとられることがありますが、一定の計算のもと歩合に残業代を含むという仕組みを採用して給与を支払っている場合、それが残業代の支払いとしては認められず未払残業代が発生してしまうというケースがあり得ます。

5 事業場外の宣伝物等について

  タクシー事業においては事業場外に看板広告を出していたり、商業施設や病院といった利用客が見込める場所に呼び出し専用の電話を設置しているということがあります。

  そのような宣伝物等があるという場合には契約をストップさせる必要がありますのでどこに、何を、どのくらい設置しているかについて契約関係の確認を行います。

法人破産の流れ

1 ご相談

会社の社長などにご来所いただき、弁護士が、会社の経営状態、資産・負債の内容をお聞きするとともに、どのような手続を取るのがよいのかのアドバイスを行います。

2 お打ち合わせ①

必要書類・資料をお持ちいただき、弁護士、法務スタッフが、社長、経理担当者の方などと詳しい打合せを行います。また、裁判所に提出する委任状、当事務所にご依頼いただく場合の委任契約書を作成します。

資料の例:貸借対照表・損益計算書、資産目録、債権者・債務者一覧表、不動産登記簿謄本、賃貸借契約書、預貯金通帳、法人印鑑・ゴム印など

3 現地の調査・従業員に対する説明

・現地調査

本社、営業所、工場などに出向き、現地の状況を調査するとともに、場合によっては弁護士が受任した旨の公示書を貼ります。

・従業員への説明

従業員に対して、破産申立てに至った理由を説明し、在庫などの資産や帳簿類の保全への協力、破産管財人への協力を要請します。

給与、健康保険の切り替え、年金の処理、失業保険受給のための離職票の発行などについても、きちんと説明します。

4 受任通知の発送

以後は、弁護士が債権者との対応をすることになります。

5 お打ち合わせ②

ご依頼を受けた後、弁護士が裁判所に提出する破産申立書を作成しますが、その中で出てきた不明点の聞き取り、不足・不十分な書類の補充などのための打合せを行います。

6 賃貸物件の明け渡し

賃借物件がある場合、状況によって破産開始決定前に明渡しを行います。

7 裁判所に対する破産申立書の提出

裁判所に対して、破産申立書を提出します。

※ なお、上記3~6を行わず、事前に裁判所と相談したうえで、申立書を裁判所に提出する場合もあります(密行型)。

  上記3~6を行うのは、オープン型と言って、すでに支払いが滞納していたり、債権者が来ていたりする等の場合です。

また、当然、事案に応じて、上記3~6やそのほかの対応を、上記の順序と異なる順序で行うこともあります。

8 裁判官との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が裁判所に行き、破産に至った経過、資産・負債の状況、従業員、債権者、賃借物件の状況、その他の問題点について、裁判官から質問を受けます。

この時に、裁判所に納める予納金の額も決定されます。

※開始前の面接が行われない場合もあります。

9 破産開始決定

破産開始決定がされ、破産管財人が選任されます(裁判所が選任した弁護士が破産管財人になります)。

10 破産管財人との面接

会社の社長、経理担当者などと弁護士が、破産管財人の法律事務所に行き、破産管財人から質問を受けます。

11 資産の処分・配当

破産管財人のもとで、会社の資産の換価、売掛金の回収が行われ、これを債権者に配当します。会社が、一部の債権者に不公平な弁済を行っている場合は、破産管財人がこれを取り戻します。

12 債権者集会

裁判所で債権者集会が行われ、破産管財人が、破産に至った経過、資産・負債の状況、配当の状況などを説明します。ただ、出席して説明を聞いてもあまり意味がないと考える債権者の方が多く、債権者は出席しないか、数名の出席の場合が多い印象です。

配当が終了していない場合は、さらに債権者集会が開かれる場合もあります。

配当するほどの財産がない場合、配当をしないで破産手続が終結することがあります。

13 破産終結決定

これによって、破産手続きは終了し、会社は解散となります。

※ 破産申立書を提出してから、破産終結決定までにかかる時間は、不動産の処分や売掛金の回収にかかる時間、不公平な弁済の有無、配当の有無などによって異なりますが、一般的には6ヶ月~2年程度です。

弁護士法人グリーンリーフ法律事務所の特徴

開設以来、数多くの法人破産申立・破産管財事件・代表者破産に対応してきた弁護士法人グリーンリーフ法律事務所には、破産手続に精通した弁護士が数多く在籍し、また、法人破産専門チームも設置しています。

このように、弁護士法人グリーンリーフ法律事務所・法人破産専門チームの弁護士は、破産手続や代表者保証に関する法律相談を日々研究しておりますので、法人破産や代表者の債務整理に関して、自信を持って対応できます。

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弁護士法人グリーンリーフ法律事務所は、設立以来30年以上の実績があり、多数の弁護士が所属する、埼玉県ではトップクラスの法律事務所です。
社の破産においても、専門チームを設けており、ご依頼を受けた場合は、専門チームの弁護士が担当します。
危機時期にも適切なアドバイスができるかと存じますので、まずは、一度お気軽にご相談ください。