依頼内容
リフォーム業を営んでいたが、受注にあたり詐欺的な言動を用いているとして警察の強制捜査が入った、結果的に刑事処分を受けることはなかったが、新聞報道等されたことで仕事を続けることはできなくなったとのご相談でした。
被害を受けたという声も多い中でしたが法人としてこれ以上の運営を続けていくことは難しい状況と判断されましたので、破産手続申立ての代理人として受任しました。

負債状況
4000万円程度

資産状況
預金が300万円程度

方針・事件処理の結果
順次、事業場を閉鎖し、雇用関係の整理を行いました。
リフォーム工事自体は外注で行っていたため大きな什器備品は存在せず、未回収の売掛金についても支払義務に争いがあるという状況でしたので、ある程度の整理が済んだ段階で裁判所に対して破産手続の申立てを行いました。
破産管財人が選任され、残された売掛金等の回収を行ったところ配当の見込みも出てきたのですが、その後に実施した税務申告により多額の課税がなされたため、財団債権の支払いで破産財団が枯渇してしまい、一般債権者に対する配当までは回らずに破産手続終了となりました。

本事例に学ぶこと
特殊なケースですが、一度、捜査機関の強制捜査の対象となってしまうと、最終的に刑事処分がなされない場合でも風評等により事業継続困難となるという状況があり得ます。
基本的にそれについて捜査機関が謝罪や賠償等をするわけではないため、法人としては破産等の選択肢を取らざるを得ないということになり、破産手続の中で被害を受けたとする債権者から責められるということもあり得ます。

弁護士 吉田 竜二