事案の概要
工務店を営んでいたがコロナ禍による受注の減少、取引先からの減額要請、職人の所得補償等により経営が厳しくなり1年前に廃業をしたという法人について破産管財人に選任されました。
代表者は法人の破産手続申立てに先んじて現在の住所地を管轄する裁判所で個人再生手続を進めていましたので、法人のみの対応となりました。

主な管財業務の内容
法人自体は1年前に廃業しているとのことでしたが、工場やその内部の什器等が残ったままの状態となっていたため、その処理をどのように行うべきかが主たる管財業務となりました。
まず工場の所有者は誰かという点を確認しましたが、工場は登記されておらず課税上の扱いも不明という状況でした。
内部の什器類についても価値のありそうなものは既に換価済みであったため、処分には相当の費用が必要になると見込まれました。
工場が建っていた土地は期限付きで代表者が地権者から使用を許されているものの、期限後は更地で返却するという約束になっていました。
廃業から時間が経過している関係で法人の財団は欠しく、工場及び内部の什器類を財団の負担で処理するということもできませんでしたので、代表者と協議の上、代表者の責任で土地の返却期限までに徐々に撤去を進めてもらうという合意のもと、工場及び内部の什器類については財団から放棄するという処理をすることとしました。

本事例の結末
工場及び内部の什器類については裁判所により財団からの放棄が許可され、その他法人にめぼしい財産は存在しなかったため、初回の債権者集会において破産手続は異時廃止となりました。

本事例に学ぶこと
法人が破産をする場合、他人の土地上に存在する工場や倉庫については何らかの方法で処理をしなければなりませんが、財産が残っていない状態であるとその処理が万全にできないことがあります。
土地所有者にできる限り迷惑をかけないという観点からは、破産をするにせよ前もって資金計画を練っておくことが重要となります。

弁護士 吉田 竜二