紛争の内容(事案の概要)
本件は、注文住宅の受注・施工等を営んでいた法人(負債総額:約2億2600万円)の破産管財事件です。 破産管財人は、裁判所から選任された中立な立場で、法人の資産を正確に把握し、換価(現金化)できる財産がないかを厳格に調査した上で、適切に法人格を消滅させる役割を担います。本件では、多額の負債を抱える法人の財産関係をいかに迅速かつ的確に整理するかが課題となりました。
交渉・調停・訴訟等の経過(管財人としての活動)
管財人に就任後、速やかに資料の精査を行い、2月に法人の代表者との管財人面談を実施しました。 面談において、金融機関との間で口座解約の手続きが滞っていた経緯について詳しく聴取し、通帳と法人印を直ちに引き継ぎました。その後、管財人として当該金融機関での解約手続きを迅速に進める過程で、当初の申立段階では把握されていなかった「別の法人名義口座」が存在することを鋭く見破り、こちらも見逃さずに同時に解約手続きを完了させました。 また、帳簿上の売掛金についても徹底的な調査を行い、既に時効を迎えており法的に回収が不能である事実を確実に認定しました。これらの迅速な調査と手続きにより、破産財団として5万円を確保いたしました。
本事例の結末
隠れた財産の発見を含む的確な財産調査を短期間で遂行したことにより、4月に開催された第1回の財産状況報告集会において、予定通り「異時廃止」の決定を受け、集会をわずか1回で無事に終了・終結させることができました。
本事例に学ぶこと(管財人としての所感)
法人の破産管財業務においては、提出された資料をただ確認するだけでなく、金融機関等へのアプローチを通じて潜在的な資産がないかを厳格に精査する視点が不可欠です。本件のように、手続きの過程で未申告の口座を素早く発見し処理できたことは、管財人としての的確な調査能力の証明と言えます。無駄のないスピーディな業務遂行により、裁判所や債権者に対しても透明性の高い手続きを迅速に示すことができた事案です。
弁護士 時田 剛志







