民事再生手続において、再生債権を自動債権として、再生債務者財産所属債権を受動債権とする相殺は、再生債権の届出期間満了時までに、相殺適状になることを前提として、その期間満了時までに相殺の意思表示をすることに限って、再生計画の定めるところによらないで可能となります(再生法92条1項)。

本件のように再生手続の開始を条件とする期限の利益喪失条項がある場合、多数の見解は、再生手続の開始時点において支払い期限の到来を認め、本ケースの場合、支払買掛金債務と売掛金債権は債権届出期間満了前に相殺適状(相殺が可能な状態)となると解しています。

したがって、再生債権の届出期間満了時までに相殺適状になっているため、その期間満了時までに相殺の意思表示をすることで、再生計画によらずに債権回収をすることが可能となります。