株式会社A社は、従業員数7名の工作機械製作メーカーでした。
景気全体の落ち込みの影響を受け、売上が減少、運転資金の返済に困窮するようになりました。
破産申立を弁護士に依頼したときの負債総額は約1億8000万円、債権者数は約60社でした。

残念ながら売り上げが低迷していた状態での破産申し立て依頼でしたので、仕掛中の製品は既に存在しませんでした。
また、本社社屋は賃借物件で、その中には工作機械製作用機械が多数置かれていましたが、それまでの取引先による引き取りが見込まれる事案でした。
そこで、速やかに現状を管財人に引き渡すことが必要であり、依頼を受けてから1週間程度で裁判所に申立てを行いました。

申立て後速やかに裁判所から破産手続開始決定が出され、管財人も決まりました。
管財人との面接では、従業員への未払い給与があることから速やかに労働者健康福祉機構(未払い賃金を立て替えてくれる独立行政法人です。現在は、労働者健康安全機構と名を変えています。)への立替手続をとってほしいことなどを伝えました。

その後、何度かの債権者集会を経て、破産手続は終結しました。
A社については、売掛金、貸付金程度しか財産がありませんでしたが、管財人がそれらを回収して破産財団に組み入れ、その組み入れ財産で配当を行いました。

A社の破産手続は、問題が少なかったことなどもあり、比較的スムーズに終結までいたりました。概ね6ヶ月程度かと思います。
その間に代表者の方も再就職が決まり、無事、経済的な再生を果たすことができました。