破産に至る経緯

中古自動車の販売を行う会社からのご相談でした。
内容は、設立後数年間は順調に売り上げが伸び、銀行からの借入れも増やしていたが、その後、代表者が病気を患い営業活動が制限された結果、売上げが低迷するようになった、銀行への返済も滞るようになり会社を畳むことを考えている、というものでした。
現在の売上げ等から将来的に銀行への返済が順調に行えるようになるとは言い難い状況であったため、手続費用の目途がついた段階で、会社及び会社債務の連帯保証を行っていた代表者の破産手続申立ての代理人として受任しました。

破産申立てまでの経過

会社については14社、合計2億2000万円程度の負債状況でした。
代表者は基本的に保証債務のみ会社と同額程度の負債状況でした。
会社の本店は代表者の実家、作業場として使っていた倉庫は引継ぎが済んでいる、在庫自動車も既に処分がされているという状況であったため、会社にめぼしい財産は存在しない状態でした。
従業員も解雇済みであったため、必要書類が揃った段階で裁判所に対する破産手続申立てを行いました。

本事例の結末

破産手続申立後、未処理の細かい財産関係が出てくる、回収した売掛金等の具体的な使途について破産管財人から説明を求められる等のことがありましたが、配当に回るような財産は存在せず初回の債権者集会で会社、代表者ともども破産手続終結となりました。
代表者については過去に行っていたギャンブルについて免責不許可事由該当性を指摘されましたが、裁量免責相当の意見が出され、その後、無事に免責許可決定がなされました。

本事例に学ぶこと

会社が破産する場合には破産管財人が選任され、会社のお金の流れについて細かく確認がされます。
殊に100万円~1000万円単位の大きな入金についてはその使途を具体的に説明する必要があるため(どこかにそのお金が残っているのではないかとの疑念を抱かれます)、何らか使途がわかるメモや証拠資料を残しておくことを強くお勧めいたします。
会計処理は日々積み重なっていきますが、いざ事後的に準備しようと思うと難しい点がありますので、日頃からご注意いただければ幸いです。

弁護士 田中智美 弁護士 吉田竜二